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2017 年 6 月 19 日

粒子充填樹脂複合材料の力学的特性に及ぼす充填粒子と母材樹脂の相互作用の影響

本研究は,ナノシリカ粒子を充填したエポキシ樹脂複合材料の力学的特性: 弾性係数,強度および破壊靭性値の測定を行い,母材樹脂の網目構造とナノシリカ粒子間の相互干渉効果を明らかにした.複合材料として直径240 nmのシリカ粒子を体積充填率0.20でビスフェノールA形エポキシ樹脂に充填したものを使用した.エポキシ樹脂は,主剤を過剰に加えることで化学量論比から非化学量論比の範囲で硬化させて網目構造の異なるものを作製した.作製した試料の損失正接の極大値となる温度からガラス転移温度およびゴム領域における粘弾性特性の温度依存性から母材樹脂の架橋密度を同定した.その結果,490から2740 mol/m3の範囲の架橋密度を有するエポキシ樹脂を作製することが可能となった.ガラス転移温度はナノシリカ粒子を充填することで母材樹脂よりも低下することとなった.作製した試料について,3点曲げ試験により,曲げ弾性係数,曲げ強度およびモードI破壊靭性値の測定を行った.その結果,作製した資料の曲げ弾性係数は母材樹脂の架橋密度および充填粒子の直径には依存しないで粒子の体積充填率にのみ依存していることを確認した.さらに架橋密度の高い密な網目構造の母材樹脂にナノシリカ粒子を充填することで曲げ強度および破壊靭性値が増加することを明らかにした.しかし架橋密度の低い疎な網目構造の母材樹脂ではむしろナノシリカ粒子が欠陥となり,母材樹脂よりも複合材料の強度,破壊靭性値より低下させることが判明した.