最近の研究成果

電磁誘導現象に基づく衝撃荷重および試験体の変形の非接触測定

衝撃荷重の測定は一般に,衝撃体にひずみゲージ,加速度計などのセンサーを使用して測定する方法,ロードセルを使用して試験体の支持反力を測定し衝撃荷重とする方法により行われる.衝撃体が小形で高速で衝突する場合が多く,このような衝撃体には取り付けるセンサーの大きさに制約がありを取り付けることが困難であり,センサーからのケーブルにより衝撃体の運動が拘束されるなどの問題がある.また試験体の反力を測定する場合も試験体の慣性力の影響により,衝撃荷重と支持反力が一致しない,いわゆる動的平衡が保たれない場合があり,衝撃荷重を測定することを困難にしている.また直接,試験体にロードセルを置くことで測定すると,衝撃体と試験体の接触条件が異なり,ロードセルの有無で測定結果が異なることとなる.さらに衝撃体の運動をカメラなどで撮影することも,試験体が大変形したり,試験体が破壊して飛散したりして困難となることもある.そこで本研究では,磁石を埋没された衝撃体を使用して,試験体近傍に置かれたコイルに発生する誘導起電力から衝撃体の速度を求め,これより衝撃荷重および試験体の荷重点の変形を非接触に測定する方法を開発した.非接触に測定することから,衝撃体の大きさの制約を受けることもなく,1 g以下の質量の衝撃体の衝突による衝撃荷重を行うことも可能となる.また試験体が大変形するようにゴムシートへ小形の衝撃体が貫通するような場合でも衝撃荷重および試験体の変形を測定し,貫通強度を測定することに成功している.

Tadaharu ADACHI, Naoki MATSUKAWA, Chihiro TAKAMIZO, Yosuke ISHII: New diagnostic method for evaluating penetration strength of rubber sheet by measuring electromagnetic induction. International Journal of Impact Engineering, Vol. 121 (2018) pp. 172-179 (DOI: 10.1016/j.ijimpeng.2018.07.002).

Tadaharu ADACHI, Naoki MATSUKAWA, Chihiro TAKAMIZO, Yosuke ISHII: New diagnostic method for evaluating penetration strength of rubber sheet by measuring electromagnetic induction. International Journal of Impact Engineering, Vol. 121 (2018) pp. 172-179 (DOI: 10.1016/j.ijimpeng.2018.07.002).

足立 忠晴, 小澤 健, 石井 陽介: 電磁誘導現象に基づく小形衝撃試験機の開発. 日本機械学会 M&M2018 材料力学カンファレンス講演論文集, No. 18-53 (2018) pp. OS05-32-34.

足立 忠晴, 小澤 健, 石井 陽介: 誘導起電力を利用した小形衝撃試験機の開発と評価. 日本実験力学講演論文集 No. 18 (2018) pp. 77-78.

足立 忠晴, 石井 陽介: 誘導起電力による衝撃荷重の測定. 第49回応力・ひずみ測定と強度評価シンポジウム講演論文集, (2018) pp. i-iv (招待講演).

足立 忠晴, 松川 直樹, 高溝 千広, 石井 陽介: 電磁誘導による小形衝撃体の衝突時の衝撃荷重の測定方法. 実験力学, Vol. 17 (2017) pp. 231-236.

足立 忠晴, 松川 直樹, 石井 陽介: 電磁誘導現象による衝撃荷重計測に基づくゴム材料の貫通強度評価. 第12回材料の衝撃問題シンポジウム講演論文集, (2017) pp. 1-3.

足立 忠晴, 石井 陽介: 衝撃荷重. 実験力学, Vol. 17 (2017) pp. 167-170.

Tadaharu ADACHI, Masashi OSADA, Keiko WATANABE: Measuring Behavior of Impactor Penetrating through Polymer Sheet Based on Electromagnetic Induction. Key Engineering Materials, Vol. 715 (2016) pp. 122-127.

足立 忠晴, 松川 直樹, 小澤 健, 石井 陽介: マグネットコイル法により飛翔体挙動の測定精度の向上. 日本実験力学会講演論文集 合同ワークショップ2016 実験力学における計測・データ処理の問題点・ノウハウ・工夫, No. 16-2 (2016) pp. 5-6.

Tadaharu ADACHI, Masashi OSADA, Keiko WATANABE: Measuring Behavior of Impactor Penetrating through Polymer Sheet Based on Electromagnetic Induction. Abstracts Book of The 9th International Symposium on Impact Engineering (ISIE2016) (2106) p. 87.

粒子充填樹脂複合材料の力学的特性に及ぼす充填粒子と母材樹脂の相互作用の影響

本研究は,ナノシリカ粒子を充填したエポキシ樹脂複合材料の力学的特性: 弾性係数,強度および破壊靭性値の測定を行い,母材樹脂の網目構造とナノシリカ粒子間の相互干渉効果を明らかにした.複合材料として直径240 nmのシリカ粒子を体積充填率0.20でビスフェノールA形エポキシ樹脂に充填したものを使用した.エポキシ樹脂は,主剤を過剰に加えることで化学量論比から非化学量論比の範囲で硬化させて網目構造の異なるものを作製した.作製した試料の損失正接の極大値となる温度からガラス転移温度およびゴム領域における粘弾性特性の温度依存性から母材樹脂の架橋密度を同定した.その結果,490から2740 mol/m3の範囲の架橋密度を有するエポキシ樹脂を作製することが可能となった.ガラス転移温度はナノシリカ粒子を充填することで母材樹脂よりも低下することとなった.作製した試料について,3点曲げ試験により,曲げ弾性係数,曲げ強度およびモードI破壊靭性値の測定を行った.その結果,作製した資料の曲げ弾性係数は母材樹脂の架橋密度および充填粒子の直径には依存しないで粒子の体積充填率にのみ依存していることを確認した.さらに架橋密度の高い密な網目構造の母材樹脂にナノシリカ粒子を充填することで曲げ強度および破壊靭性値が増加することを明らかにした.しかし架橋密度の低い疎な網目構造の母材樹脂ではむしろナノシリカ粒子が欠陥となり,母材樹脂よりも複合材料の強度,破壊靭性値より低下させることが判明した.

Tadaharu ADACHI, Zoltan MAJOR, Kenji FUJII, Kohei MIKUMA, Markus Karamoy Umboh, Kyohei TAKEO, Yosuke ISHII: Measurement of dynamic fracture toughness by double torsion testing. Mechanical Engineering Journal, Vol. 5 (2018) p.17-00529 (pp.1-11) (DOI:10.1299/mej.17-00529).

Tadaharu ADACHI, Markus Karamoy Umboh, Tadamasa NEMOTO, Masahiro HIGUCHI, Zoltan MAJOR: Chapter 25. Mechanical Properties of Epoxy Resins Filled with Nano-Silica Paretciles, Dynamics and Control of Advanced Structures and Machines (Edited by Hans Irschik, Alexander K. Belyaev, Michael Krommer), (2017), pp. 225-234, Springer, Wien.

Markus Karamoy UMBOH, Tadaharu ADACHI, Tadamasa NEMOTO, Masahiro HIGUCHI, Zoltan MAJOR: Non-Stoichiometric Curing Effect on Fracture Toughness of Nanosilica Particulate-Reinforced Epoxy Composites. Journal of Materials Science. Vol. 49 (2014), pp.7454-7461. DOI: 10.1007/s10853-014-8450-6.

Markus Karamoy UMBOH, Tadaharu ADACHI, Kouzo OISHI, Masahiro HIGUCHI, Zoltan MAJOR: Mechanical Properties of Nano-Silica Particulate-Reinforced Epoxy Composites Considered in Terms of Crosslinking Effect in Matrix Resins. Journal of Materials Science, Vol.48 (2013), pp.5148-5156.

Tadaharu ADACHI, Kozo OISHI, Masahiro HIGUCHI, Markus Karamoy UMBOH, Zoltan MAJOR: Non-Stoichiometric Curing Effect on Dynamic Mechanical Properties of Bisphenol A-Type Epoxy Resins. Journal of the Japanese Society for Experimental Mechanics Vol.13 (2013) pp.s148-s153.